出会いは最悪だが、終わりは良かった「癒し屋キリコの約束」の魅力

kindleアンリミテッドで出会った「癒し屋キリコの約束」という本を読んでみた。

目次

kindleアンリミテッド最強説、だが欠点もある

この本はkindleアンリミテッドの無料期間に無料で読んだ。

kindleアンリミテッドに契約して以降、ほとんどの本を無料で読むようになった。

だいたい月15冊ほど本を読むので、980円ぽっきりで好き放題に読めるというのは魅力的すぎる。

が、kindleアンリミテッドにも当然デメリットはある。

デメリットは

それは、選ぶ本が適当になりがち、という点である。

というのもつまらなければ返さばいいという思いが働くのである。

そのため、つまらない本にあたることも当然増えた。

でもまあ、そんな本はすぐに読むのやめて、他の本に移ればいいじゃんと思われるかもしれないが、私は読み始めた本は最後まで読み切ると本の神様に誓っているのである、過去に、勝手に。

そんな神様なんて知らない、そんな信条捨てちまえって言われるかもしれないが、そうもいかなのである。

こういう本に出会ってしまうと尚更に。

読後良シッ! の「癒し屋キリコの約束」

最悪の出会い

さて、「癒し屋キリコの約束」との出会い、つまり読み始めの印象は最悪であった。

まず、文体が好きになれないし、キャラなんて、もちろん好きになれない。

先日、ふたみくんがキャラの重要性について語っていた。

キャラは確かに重要だが、行き過ぎたキャラはどうもしっくりこない。

いや、しっくりこないというより、嫌いだ。

行き過ぎないキャラの線引きが難しいのは百も承知だが、プロの小説家なのだからそこらへんはぜひとも頑張ってくださいとしか言いようがない。

で、「癒し屋キリコの約束」は行き過ぎている。

行き過ぎて、度を超えている。

読んでいて、共感性羞恥心がはたくほどに。

そのせいで「あーこれは久しく見ない外れ本だ」なんて心で思っていた。

本の神様なんていたっけ、なんて思いつつ、いつ投げ出そうか考えていた、ここだけの話だが。

しかし読み進めていくうちに徐々にキャラに慣れていった。

行き過ぎていることには変わりないし、共感性羞恥心だって働くけど、もうこういう本だから仕方ないって割り切れるようになった。

そして読み終えた時、読み切って良かったと素直に思えたのである。

少なくとも外れではない、って。

こういうことがあるから手に取った本は最後まで読まずにはいられない。

癒し屋キリコの約束の魅力は

さて、この本の魅力だが、当然、霧子さんにある。

魅力を出そうと筆が力みすぎているのはすこし嫌だけれど、それでも霧子さんの言葉にははっとさせられることがある。

「相手の欠点を探すのをやめた時、相手の長所が見つかる」
「才能ってのは、成功するまで絶対に努力を止めないという、自分自身を説得し続ける能力のこと」
90代以上の老人たちの90%以上が賛同する言葉「もっと冒険しておけばよかった」
「人って長所で尊敬されて、短所で愛されているんだ」
どんなことがあっても「ありがとう」の一言は心地いい
「人間の心って不思議なもんでさ、自分で断ち切ったはずの過去には、いつまでも月までも付き纏われて重いんだけど、しっかり受け入れた過去は、その瞬間からなくなるんだよね」
「人間ってさ、真剣に何かに迷っている時は、他人の言葉に安易に従うよりも、とことん迷いに迷ってでも、自分で答えを出して、その答えの通りに行動した方がいいんだよ」

うん、いい。

言葉だけでもいいけれど、物語と一緒に語られるとさらにいい。

特に「才能ってのは、成功するまで絶対に努力を止めないという、自分自身を説得し続ける能力のこと」っていう言葉は自身にいわれたようで、思わず本に返事をした。

魅力のあるストーリー展開

さらにストーリー展開にも魅力がある。

この本のストーリーはよくある形をしている。

いくつかの事件が起きる間に一本の大きな事件が進み、最後にその事件が解決する。

セオリー&セオリーのストーリー展開である。

セオリーと唯一違うのは、におわせすぎて答えを導き出せるようになっているということである。

普通は巧妙に隠しつつ進めるのだが、この本では大半の読者が、ほとんど結末を予想できるようになっている。

そうすることで、より、読書欲をそそるのである。

人間不思議なもので、謎を解決したい、っていう欲より、自分の答えが当っているかを知りたがる。

そのせいで読者はもうこの本に雁字搦めにされるのである。

そうして最後には読んでよかった、そう思うのである。

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