『ハリーポッターと賢者の石』ダーズリー家の視点

ハリーシリーズ第1巻を読んで、ダーズリー家が魅力的だったので、彼らについて浅く書いてみた。

目次

魅力的? ダーズリー家についてまとめてみた

名作中の名作、ハリーポッターシリーズを読んでみた。
普通に読んだ感想を述べただけでは「おもしろかった」の一言に尽きてしまうので、今回はハリーを引き取ることになったダーズリー家について書いてみようと思う。ハリーポッターについてのあらすじは今更必要ないと思うが、少しだけ説明を。

物語は主人公ハリーポッターが赤子の頃から始まる。魔法が使える両親のもとに産まれたハリーポッターだったが、両親が産まれてすぐに「例のあの人」によって襲われ、儚くも命を落としてしまう。魔法の世界ではかなり優秀であったハリーの両親でさえ「例のあの人」には敗れてしまうのだが、奇跡的にハリーだけは生き残り、「例のあの人」を追い返した存在として魔法界では一躍有名人になる。

有名人にはなるのだが、そもそも赤子のハリーには何のことかさっぱりである。結局、赤子のハリーは母親の妹である、魔法が使えない(通称マグル)夫人の家に預けられることになる。この―家が中々に癖のある家族で読み応えがあった。

映画でも小説でも、ハリーポッターを知っている方ならわかると思うが、ダーズリー家の3人(父・母・子)は意地悪な家族として描かれる。ハリーの部屋は物置小屋であるし、命令をするし、とにかくハリーの事を雑に扱うのだ。ただ、彼らにも彼らの人生があり、意地悪くもなってしまう余地が大いにあることを認めざるを得ない。

だからこそ、私がダーズリー―家の視点に立ち、彼らの魅力を存分に伝えようと思い立った。

ダーズリー家の主、敏腕経営者バーノン・ダーズリー

ダーズリー家の大黒柱、ダーノン・ダーズリーから紹介をしていきたい。
バーノンは製造会社の社長で、暮らしぶりからもかなり順調に経営がうまくいっていることも伺える。

観察眼や洞察力も非常に鋭く、ハリーを引き取ることになったその日は一日中、何かしらの不吉な予感を感じ取っていた。
経営者として、不吉な予兆などの説明できないことを感じ取ることができる点で、優秀な経営者だつたのではないだろうか。

内面はどうだろう、あまり擁護できそうにない点が多い。
息子ダドリーをこよなく愛し、その愛し方は親バカの一線を超えている。ダドリ―が甘えん坊のわがままに育ってしまったのは、バーノンが甘やかし過ぎたことが大きい。癇癪も起こしやすく、社員に愚痴を垂れている姿も描写されている。良く言えば真っすぐな性格とも言えるかもしれない。

ハリーに対しての態度は、大人としてどうだろうと口を挟みたくなることが多い。ハリーを奴隷のように扱い、10歳の子どもに接しているとは思えないような意地悪な態度を取る。

ただどうだろう、バーノンの視点に立つと分かるのだが、ハリーとは赤の他人なのである。
ハリーは妻ペチュニア・ダーズリーの血縁者として預かることになるわけだが、バーノンとは何ら血縁関係がない。

”ハリーが普通の子ども”であったなら話は別だが、”魔法を使える家i庭の子ども”だったなら、自分の理解が追い付かないような存在だったなら、一緒に暮らすということに抵抗を感じても仕方がないだろう。他人の子どもを愛するというそもそものハードルの高さに加えて、魔法が使える危険な子どもであれば尚更。

もし、自分がバーノンであれば、同じようなことをしなかっただろうかと考えてしまう。物置に閉じ込めたり無視を決め込んだりと大人げないことこの上ないバーノンだが、表面的にでも良い父親として振舞うことは難しいことだったのではないか。

愛する妻と子どもがすでにあり、そこに来た危険な異分子(バーノンから見たハリー)のせいで家族との平和な日常が変わってしまうとするならば、ハリーを幸せにはできずとも曲がりなりに生活の面倒をみているバーノンという男は立派かもしれない。

劣等感を抱いているペチュニア・ダーズリー

バーノンの妻であるペチュニア・ダーズリーは、ハリーの母親の妹にあたり、唯一の血縁者である。第1巻『ハリーポッターと賢者の石』では語られないが、彼女は姉に対して思う所が多々あったようだ。魔法が使える姉と使えない妹では、何らかの劣等感を感じても無理はない。

ハリーに対しての扱いはバーノンと同じ。奴隷のようにこき使うばかりで、愛情のひとかけらもない。
ダドリ―に対する溢れる愛情のほんの少しでもいいから、ハリーに対して分けてあげられなかっただろうか。

ただ、それも魔法使いの子どもであるハリーだったからこそ叶わない話。ペチュニアは唯一魔法について理解がある。
魔法の怖さも、「例のあの人」の怖さも知っているからこそ、ハリーを家に置いておく恐怖はあっただろう。

まだ読んでいないが、きっと続巻で彼女の背景はじっくり語られるはずだ。
大体彼女のようなキャラクターは、想像以上の苦悩と葛藤を抱えていて、内心実は優しい心の持ち主であることが多い。

甘えん坊将軍ダドリ―・ダーズリー

甘えん坊で意地悪などうしようもない男の子、ダドリ―・ダーズリー。
バーノンゆずりのぽっちゃり体型で、ハリーの何倍も体が大きく力も強い。

しょっちゅう仲間を率いてハリーをいじめるし、両親の顔色を伺って癇癪を起したりする。
このままだとろくでもない大人に育ってしまうんじゃないかと心配になるレベルだ。

読む限りでは、今のところ愛嬌はない。
こいつはろくでもないいじめっ子という印象が抜けない。

彼がこんな甘えん坊のろくでなしになってしまったのは、両親が親バカであるからなので罪はない。
「この子どもにしてこの親あり」「この親にしてこの子あり」分かりやすい例がダドリ―だ。

今後の改心に期待していきたい。

そもそもダーズリー家が優しかったら物語は進まない

もしもの世界で、ダーズリー家の全員が聖人のように優しかった場合、きっとハリーはホグワーツに行かない。
幸福に育った10歳の子どもが、家族の基を離れて魔法学校に進むとは思えないからだ。

物語の進行上、彼らはいじめっこという役割を与えられた不遇なキャラクターなのだ。
彼らがいじめっ子であったからこそ、ハリーはホグワーツへ旅立ち、きっといろんな問題を解決していくのだろう。

役割って大事だな。
この記事を書きながら、自分の役割は何だろうとぽつぽつ考える。

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